【16代当主独り言】甲冑を目前に当主所信
先日、私が会長を務めさせて頂いております、葦陽ライオンズクラブの設立55周年記念事業にて
初代福山藩主の水野勝成公、並びに第七代藩主阿部正弘公が着用したとされる甲冑レプリカを福山市に寄贈させて頂きました。
甲冑は勝成公が関ケ原合戦の時に着用したとされる
「革包(かわづつみ)茶糸威(ちゃいとおどし)二枚(にまい)胴具足(どうぐそく)」(県重要文化財)
更に阿部正弘ゆかりの「紺糸(こんいと)菱綴(ひしとじ)五枚(ごまい)胴具足(どうぐそく)」である。

ここに改めてライオンズクラブ及びご協力いただきました皆様に心より御礼を申し上げる次第でございます。
およそ398年前に福山城にて水野勝成公(甲冑は着用してなかったであろうが)に銘菓「とんど饅頭」を献上した。
それからおよそ16人の当主を経て、この甲冑を前にしたことは言わずもがなそれは必然であると信じている。
平成最後の年とされる2018年松の内、多くの人が賑わう福山駅改札前に鎮座するこの2対の甲冑を改めて見る。
人の出会いとひとときの別れが交錯するこの場所で、2人のお殿様が見守ってくれるそんなどこか暖かい気持ちになる。
瀬戸内は備後福山の伝統と郷土文化を誇るわが町の玄関は2018年も晴れ晴れとした空気と匂いである。

ところで福山城の遺構の保存の署名活動をしている当時からもう10年が経つ。
南口に堀を復活させ駅が福山城の中にあるという景観は多くの方をわくわくさせたものだ。
さて、現代において都市つくりを考える時、大切な事は色々あるが、
まずは「市民がわが町に誇りを感じられるか?」「夢を抱けるか?」
こういった心の内にある文化意識を高める事が最も大切な事だと私は信じている。
築城400年を前に福山駅の名称を福山城駅と改名するという大胆な話も耳に入っていくる。

「伝統」を旧い言葉だけの「伝統」のままに終わらせるのでは意味はない。
未来に向けて大胆に革新を繰り返してこそ初めて意味を成す。
まさに革新とは大切なものを守る為に存在す。
元和偃武を経て1620年より累々と継承された虎屋本舗
手前味噌ではあるが、この事が経営を通じて私が学んだ最も偉大な信条の一つである。
2017年も振返り2018年を前にして、本当に皆から助けられた『感謝』という想いで一杯だ。
本年も皆様方におきましては素晴らしい年になりますよう心より祈念致します。
虎屋本舗 第十六代当主 高田信吾 敬白